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2007年秋号

ボラットさんみーつけた! 「調和」する時間を求めて

ボラットさんみーつけた!「調和」する時間を求めて
アフリカンパーカッショニスト 山本よういちさん

01.jpg 山本よういち(36)
去年10月からコーヒー・カレー・オムライスなどを提供するコーヒーショップ「すずめ」を経営。アフリカンパーカッショングループ「福来(ふくくる)」のメンバーで、アフリカ太鼓の魅力を伝える。函館出身。

03.jpg アパートの1階を改装して造られたカフェ喫茶が、函館市中道の住宅街にある。手作りの看板。中に入ると、天井にはインド綿が施され、壁は瓦のように何重にも木の板を重ねた凝った造り。小さなカウンターは2、3人が座れるスペースで、厨房との距離も近い。山本よういちさんは、1年かけて自分で作ったこの店を去年10月にオープンさせた。ここにくると、誰もが自然と言葉を交わし、いつのまにか話が弾んでいる。カウンターに座る女性は「山本さんがこんな感じだからね」という。カレーを注文したら「まってれー。今日のカレーはうまいよ」と、ゆったりした口調で話し目の前で作り始める。決められたレシピはなく、天気や雰囲気で毎回、味は変わるという。

02.jpg 山本さんは、20代のとき、駅前大門地区で洋服屋をしていた。函館で生まれ、駅前の路地裏や、"裏函館"のような雰囲気が好きだった。でも、少しずつ小さな店もなくなり、函館の街が都市っぽくなってきたことが寂しく感じた。そんなとき、急に旅に出たくなって、何年か函館を離れた。日にちの感覚も、どこにいるのかもよくわからないくらい、無心で、とにかく山奥や古い町をめざした。ふるさとを探していたのかもしれない。旅で過ごしたのんびりした時間、土地の空気、そこに伝わる伝説や、出会う人たち。いろんなものを感じて、戻ってきたのは、やっぱり函館だった。「函館でも、のんびりしたスペースをつくればいいじゃないか。」山本さんは、敢えて、変わっていく函館にこだわった。この街に、自分の居場所を自分でつくった。

そんな山本さんの感性にぴったりくるのが、アフリカ太鼓だった。洋服屋をしているときに店にあった民族楽器にさわったのがきっかけで、独学で学んだ。アフリカ太鼓は音楽ではなく、アフリカでは通信手段としてつかわれ、リズムにメッセージ性がある。時には軽快に、時には重々しく。人間の生活を音にかえてつくられたリズムからは、その意味はわからなくても飾らない素直さがある。3年ほど前からアフリカンパーカッショングループ福来(ふくくる)のメンバーとなり、各地で演奏活動もしている。

演奏も店も、共有できる時間を大切にしているという。いい音を出せばそれが伝わる。店も、僕が笑っていれば、お客さんも笑っている。おいしいもの、楽しいことを共有したい。その「調和」された時間が、山本さんにとって、最高の時間だという。山本さんがつくるカレーライスは、何種類ものスパイスが、じっくり煮込んだうまみと「調和」して、実にソフトに体に溶け込んだ。
(文/川島美佳)

04.jpg 一口メモ ★アフリカ太鼓 ジェンベ★
西アフリカの伝統的な民族楽器。
筒状の木にヤギの皮を張り、手のひらでリズムを刻む。
バンバラ族のことばで「ジェベ(調和)・バラ(太鼓)」が語源とされ、人々が太鼓の周りで仲良くなるともいわれる。

 

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