We Love Life!
いつのまにか函館に移り住んでから10
年という年月が過ぎていた。まさに、閃
光のように一瞬だった10年間。
「函館の街に対する印象は?」と問わ
れたなら、返答に窮してしまうだろう。
たった一本の道筋をわき目もふらずに歩
いてきただけなのだから。そしてその道
は数々の驚くべき偶然で溢れていた――
そんな言い方をしてはミもフタもなく、
先の問いにも全く答えていないのだが、
本当にそんな感じだったのだから仕方が
ない。ただ、そんな幸福な偶然が起こり
やすい状態をつくりだすことならば可能
かもしれない。街はそのための触媒とし
て存在している。「街づくり」というな
にやら大仰な言葉からは、ずいぶんと距
離があるけれど、まずはそのような場所
から、ゆっくりとテーマを立ち上げてみ
よう。
皆、自らが身を置いている場所や環境
を愛したいとおもうのは当然の感情だろ
う。環境が人格を形づくり、環境が芸術
を育て、環境が大切な人との出会いを用
意する。だからこそ、それぞれが街に対
する思いを抱いているし、ここでは自分
たちの住む街についての議論が非常に活
発だと感じることも多い。よくあるのは
「より良い街にするために何が必要か」
といったような問い掛けである。
街に対する議論というものは、良くも
悪くも感情論から成り立っているケース
が多いかもしれないが、まずは冷静かつ
慎重な、「外からの目」を用いてみるのはいかがだろうか。たとえば、外国人か
ら見た函館はどのように映っているのだ
ろう。やや飛躍するとそれは、「マイノ
リティの立場において過ごしやすい環境
かどうか」ということでもある。
私に関していえば、親戚の多く住む函
館は子供のころから休みのおりに訪れて
いた場所であり、きっとどこかで「終わ
らない夏休み」の象徴のようでもあり、
完全に客観視することができないでいる。
だからここに来るもっと前の話、遠い外
国での体験を語ってみよう。
その国の首都で話しかけられたときに
頻出した単語はといえば「スシ」「テン
プラ」「マンガ」・・・日本に興味があ
るのはわかるけれど、う~んという気分。
それに対してもっと田舎のほうでは「今
日はこれからどこに行くの?」「雨が降
りそうだね!」と、ありのままの日常会
話。そこでの生活はとても自然で、今で
もけっして忘れることはない。
オープンマインドな姿勢は心地よく、
また勇気づけるものでもある。ある一定
の立場に押し込められそうになっている
人間を解放する力がある。「個」が活か
されることが、愛することのできる「街」
へと繋がる扉の鍵となる気がする。
大山 紘生(おおやま ひろお)
1977年生まれ。ボラット編集長。
8月下旬にサンドイッチ屋「EDWARDS」をリニュー
アルオープン。9月1日から2日にかけて札幌・テイ
ネハイランドで行われる「MAGICAL CAMP 2007」
という音楽フェスティバルにて出張DJです。この号
が出る頃には終わっているがはたして!?

ボラットスタッフの、なにやら楽しげな編集日記。見てね!