身近なことを話そう。
部屋のスピーカーから流れているのは、暖房ですっかりあたたまった部屋に心地よく響く、どこか眠気を誘う音楽。だけどそれは、1曲1曲にほんのわずかなユーモアが込められているようで、眠りに落ちてしまうほど1本調子なものではない。そう、それは「メロウ」とでも表せる感覚だが、退屈なだけの「癒し」の音楽などではなく、冒険心と刺激に満ちた空想世界でのリスニング体験である。
回っているディスクは、函館出身のマルチ・ミュージシャンであるJINTANAが所属する「PAN PACIFIC PLAYA(パン・パシフィック・プレイヤ)」による初めてのレーベル・コンピレーションだ。PPPは、横浜のベイエリアを拠点に活動している集団であるが、バラバラの個性が、とても面白いまとまり方をしているという印象。ジン君、本当に素晴らしいCDだと思ったよ。すごく良かった。
札幌在住の木野哲也(きの てつや)、彼
もまた幅広い活動をしている人物だ。今年は、彼がマネージャーをつとめるOKIさん(アイヌ音楽のミュージシャンで、これまた面白い人だ)も含めて、妙に会う機会が多かったね。みんなで大量の酒を消費したし、くだらない話も沢山した。
その彼が企画した野外フェスティバル『MAGICAL CAMP
2007』は、自分たちの世代の感覚を代弁してくれるような、一夜の祭りだった。大規模なイベントなのに、そのアットホームさといったら!
2008年もあるのだろうか。今はきっと、新たなやり方を模索している段階だろう。
前述の2人は、住んでいる距離こそ離
れているが、ParCodaN(パーコダン)というバンドを組んでいる。どうやらそのパーコダンの、初めてのアルバムがリリースされることになりそうだ。まさに「ようやく」という言葉がふさわしく、今から仕上がりが楽しみだ。
ちょうど今頃、日本の最北端である宗谷岬を起点とした、およそ半年にわたる日本縦断の旅を終えた人物がいる。それも徒歩による旅である(!)。彼の名は飴谷 等(あめやひとし)。その道程についてはここで書ききれるものではないので、ぜひ彼のブログを覗いてみてほしい。http: //www.moku.jp/pc/hitoshi/
暮れも押しせまった年内ギリギリに大きなイベント。高校時代からの友人であるキックボクサー、渡辺秀策(わたなべしゅうさく)が、北海道ではめずらしい、キックボクシングの興行をおこなうという。もちろん自身の試合も。場所はZepp札幌、大会場である。自らの店を休業してでも駆けつけるつもりだ。ストーリーはずっと昔から続いている――彼の勝負の場に、立ちあわないわけにはいかないだろう。
以上はみんな、自分とほとんど年齢の違わない人物ばかりだが、ちょうどひとまわり上の年齢の知り合いで「ロケットソン」というオリジナリティ溢れる音楽家がいる。彼は姫路在住だが、ライブで2度訪れて、ひどく気に入ってしまった函館に、住みたいとすら思っている。
すっかり寒くなって、ただでさえ人の少ない通りは、余計にもの悲しく感じる。だが、少なくとも今回紹介した人たちは度々この地を訪れるだろう。函館に関係のない話を書き連ねてきたつもりはない。すでに自分の中では彼らを「函館の登場人物」と認識している。新たな登場人物は増える一方だから、けっしてさみしい気持ちにはならないのだ。(文/大山紘生)

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