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みんながドキドキしていて、笑顔であれば、この世は最高の場所に違いありませんが、今も世界では多くのひどい出来事が起こっています。
「善が悪に勝てないこともない。ただ、そのためには天使がマフィアなみに組織化される必要がある」
昨年天に召された、とあるアメリカの作家は、こう世の中を憂いました。
だが彼はこうも書いた。
「人間は、色々なことをしゃべりますけれど、本当は、二つのことしか言っていないんです。一つは…‥」/少女は自分の胸に手を当てた。/「私は、ここにいます」/「そして、もう一つは…‥」/少女は僕の胸、すれすれに手を差し出した。/「あなたが、そこにいてよかった」
その作家、すなわちカート・ヴォネガット・ジュニアの最後に遺した『国のない男』(日本では昨年、アメリカでは2005年に刊行)が、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーになったことは、この世界にとって、アメリカにとって、ひとつの明るい材料ではないでしょうか。
死後、彼のオフィシャル・ホームページ上には、空っぽになった鳥かごが、たったひとつありました。この世界に拠り所を持たなかった男は、いったいどこに飛びたったのでしょう?
(文/大山 紘生)
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