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2008年夏号

ボラットさんみーつけた! トイカメラで日常を記憶する

r7186.jpg トイカメラで日常を記憶する

箱館トイカメラ女子写真部 代表
川崎 志代(かわさき しよ)さん

<PROFILE>
1977年 函館生まれ   2001年写真を撮り始める
2002年 トイカメラと出会いLC-Aというカメラを初めて購入
2007年 箱館トイカメラ女子写真部を結成。

24歳のとき、すごくつらくて感傷的になっていた時期があった。そんなとき、たまたま目に入って触ったのが、デジカメだった。一瞬一瞬、目にしたものをカメラで記録することで、感じたもの、考えたことが記憶されていく。川崎さんは、自分の考えや存在を確かなものにしてくれた写真の魅力にひきつけられていった。

でも、当時のデジカメは、暗いところの撮影には向いていなかったようだ。バイトの帰り道に眺めた街頭の下の光、朝焼けにゆれる木々・・・。露出を調整すれば、フィルムカメラのほうがうまく撮れた。悲しいときに撮った写真は、情が深く入りやさしい写真になるという。そうやって自然と、安くて手に入れやすかったトイカメラが川崎さんの相棒となった。トイカメラとは、カメラの本体やレンズが基本的にプラスチックでできている簡単なつくりのものが多く、いわゆる「おもちゃカメラ」ともいわれる。でも、これが、高機能なデジカメにはない、アジをだす。ピントが合っていないような写真も不思議な雰囲気をかもし出したり、光漏れした写真が面白かったり、四隅が黒くなったりするのが演出になったり。

r7128.jpg このトイカメラの虜になった人たちが集まって、去年5月、箱館トイカメラ女子写真部が結成された。トイカメラを販売しているお店で知り合った人たちが集まり、月に数回、お茶会や撮影会をひらいている。彼女たちの撮影の仕方を見てみると、実に自由だ。芝生の上を転がりながら撮影したり、みんなで空に向かって手をかざして手元だけを撮影したり、虫眼鏡をつかったり、カメラのファインダーをのぞかずに手を伸ばしてシャッターを押したり・・・。格好つけずに、素直に撮りたいものに近づいた写真は、出来上がりも自然体。道端におちているゴミだって、彼女たちにとっては作品の一部となる。
r7173.jpg 箱トイの代表をつとめる川崎さんは、ことしのテーマを「fun」~楽しむ、とした。「フィルムカメラは、一枚の写真にしても、撮影から現像まで楽しむ時間がゆっくり長い。あえて、急いだ生活ではなく、ものごとをじっくり考えるような、ゆとりのある生活に自分から入っていくことができる。」写真の撮り方と、日常の考え方は似ているという。「ひとつのものを見るとき、しゃがんでみたり、高いところから見たり、右から左からいろんな視点で見ると、それまで気づかなかった発見もある。それは、相手の立場からものごとを考えてみたり、子供の目線になってみたり、もののとらえ方は同じこと。」カメラのファインダーを通して、いろんなことを考えて感じてきたんだろう、言葉のひとつひとつに納得させられる。

箱トイ結成から1年となった今年5月。函館駅2階イカすホールで展示会を開いた。大胆にボードに模造紙を貼り、地図を書いて、撮影した場所がわかるように写真をおくなど工夫をした。個々の感性で見つめた街並みが並んだ。「気軽に撮ってるから見ていて楽しい」「こんな景色があったんだ」お客さんからはそんな声が聞こえてきた。「トイカメラだってこんなにできるんだぞ」って、みんな胸を張っていた。「トイカメラは、人から人の手に渡って使われるものも多いんです。時代に流され忘れられてきたものを大切にできれば」と話す川崎さん。トイカメラの目線とともに毎日をじっくり長く楽しんでいた。 (文/川島美佳)

一口メモ ★トイカメラ★
「Toy(おもちゃ)」「Camera(かめら)」の総称。ロシアや中国で生産されていることが多い。1000円前後の安価なものからあり、構造もプラスチックや紙でできているなどシンプル。機能もシャッターを押すだけのものが多い。

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