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2008年夏号

エイガなハナシ#6

movie_.jpg 「刑事ジョン・ブック/目撃者」

1985年 米(アメリカ) 監督 ピーター・ウィアー
撮影 ジョン・シール 音楽 モーリス・ジャール
出演 ハリソン・フォード、ケリー・マクギリス、ルーカス・ハース

1985年、この年僕は180本位の映画を観た。まるで映画館が生活の一部分のようだった。父が死に、好きな人が去って一年余り。一人で商売をし、今に繋がる素敵な仲間達との出会いがあり、新しい実人生の基盤を作る重要な季節だった。多種多様な映画は僕を励まし、エネルギーをくれた。タルコフスキーだのヴェンダースだのと偉そうに語らっていた頃、この映画にフーッと出合った。 初めての都会の駅で殺人事件を偶然目撃してしまったアーミッシュの少年。刑事は協力を求めるが母はアーミッシュ以外の社会と関わることに恐れを抱き協力を拒む。しかし少年が目撃した真実とは・・。ストーリーの展開が実に見事で、人間の心情の変化や切なさが自然に描かれ、素直に伝わってくる。信心と質素な生活を生きるアーミッシュの存在の姿も程よく誠実に生かされ、その母子と刑事との心の動きがよく見える編集になっている。
聖と俗、大都会と大田舎、欲望と禁欲など、あらゆる二律背反が見事に溶け合い、映画の魔法が僕等に何かを学ばせてくれる。活劇スターだったH・フォードのシリアスな演技が小憎らしい位はまっている。後半、主役二人が納屋でダンスをするシーンがある。サム・クックの名曲「ワンダフル・ワールド」で踊る両者の切羽詰まった、溢れそうな恋情が胸に沁みまくるのです。始まり方も終わり方もバッチリで、撮影と音楽の恋愛関係も秀逸。とにかく素材を生かし、サスペンスとロマンスを両立させ完成度の高い娯楽ヒューマン映画に昇華させた発想と手腕に大拍手!これを見た後の我が生活態度がアクティブかつ神聖になった・・のは、言うまでもありまっしぇん・・・? (文/カフェやまじょう 太田誠一)

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