ボランティアには様々な形がある。
ボランティアをいろんな方向から考えてもらうために、
活動に取り組む輝いている人を紹介するコーナーです。
伝えてこそ財産
映画『海炭市叙景』製作実行委員会
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PROFILE
西堀滋樹
(にしぼり しげき)さん(59)
1949年
函館市末広町にうまれる
明治大学政経学部卒業
現在は弥生小学校事務職員
同人誌『路上』・
『函館文学散歩』編集人
映画『海炭市叙景』
製作実行委員会
事務局長 |
事務局長
西堀滋樹(にしぼり しげき)
「高校生のころ、みなが一目置くすごいやつがいた。高校生にして有島青少年文芸賞を2度も受賞。文芸部の集合写真の中で女性に囲まれて1人、ハダシで写っていた。」函館出身の作家・佐藤泰志は西堀さんと西高の同学年で、文章を書くことが好きだった西堀さんも、こいつにはかなわないと意識していた。「このころは学生運動が盛んで、みなが政治に熱くなっているときも、彼は作家を目指し冷静だった。」西堀さんと彼は卒業後に東京で再会し、西高時代の仲間たちとガリ版刷りの同人誌を発行することになったが、意見が合わずケンカ別れした。それから連絡はとっていなかったが、41歳になったとき、彼が死んだと新聞で知った。「すぐに自殺だとわかった。それくらい、細い絶壁をあるいて生きているような男だった」という。
彼は何を書こうとしていたのか。追想集もつくった。彼の死をきっかけに本格的にモノを書き始めた。同人誌『路上』に文を綴り、函館ゆかりの作家をまとめた『函館文学散歩』も編集した。自分の思いを文章に込めるとともに、文学に対する興味も深まっていった。特に明治の後半から大正にかけて、函館には多くの文学者たちが住んでいて、函館山の麓・旧市街地を同じような時代に歩いていた。この空間がすごい。先人がここで何をしたか、目の前にある風景に想像力をふくらませてわくわくした。4年前、出身校の弥生小学校に勤務になった。資料室には、石川啄木や亀井勝一郎など弥生小ゆかりの文学者たちの資料がいっぱい。これを子供たちにみせたかった。バラバラの場所におかれた資料を隣り合わせるだけで価値が倍増。説明パネルを添えるだけで、人に目を向けてもらえる。そこにあるだけでなく、伝えて、感じてもらってこそ意味がある。それが価値を磨くということ。せっかくの財産も磨かなければ死蔵になってしまう。だから、
佐藤泰志のメッセージも人に伝えたかったのかもしれない。
去年、佐藤泰志の遺作となった小説『海炭市叙景』を映画化しようという話が持ち上がった。函館の風景がうかぶ映像的な作品であること、20~30代の若いファンたちに、佐藤泰志の作品が注目されているということから実現に向けて走り出した。「映画はオールメイド函館にして、観光スポットだけでなく、生活者の視点で日常を描きたい。美しくない雑多な町並みもありのままに描く。それが佐藤泰志の意図したところにぴったりだろう。」と西堀さん。撮影は年明けから本格的にスタートする予定。
同級生とか職場とか横の繋がりだけでなく、世代を越えて、立場の違う人たちと縦軸のコミュニケーションをする。すると混ざり合って活力がわいてくる。自分ができないことをできる人がいる。喜ばれたり、新鮮な気持ちで、何かができるんじゃないかな。映画スタッフはそれができるメンバー。僕にできることは言葉と文章で伝えることです。(文/川島美佳)
一口メモ~
★佐藤泰志(さとうやすし)1949~1990年★
函館市若松町(当時:高砂町)にうまれ、西高在学中、『青春の記憶』『市街戦の中のジャズメン』で2年連続有島青少年文芸賞優秀賞受賞。国学院大学文学部哲学科卒業。芥川賞の候補に5回あがる。『海炭市叙景』が未完成のまま41歳で自殺。『海炭市』とは、函館をモデルに描いた架空の地方都市。時代の底辺に生き、事情をかかえながら生きる人たちを描いた18編からなる物語。

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