今も昔も変わらずに、ずうっとそこにあるモノ。
人から人へ手から手へ、ずうっと伝えられるモノ。
想いがつながるモノがたり。
~其の四-時代ヲ旅スル写真館-
つながる写真師の想い~
明治の面影をそのまま残す「旧小林写真館」。創業は明治35年、神戸より派遣された写真師・小林建蔵によって開業。かつて歌人・石川啄木もここで家族写真を撮ったとか。函館は「北海道写真発祥の地」。今年開港150周年を迎えた函館は、写真術伝来150年でもある。築102年となるこの建物を、今年5月、函館の写真館館主・谷杉アキラ氏が、レトロ&モダンをコンセプトに「写真館」として復元させた。今でこそ、「写真」は身近な存在であり、手軽なアイテムとなったが、当時は貴重なものであり、そこで「撮る」ということ自体が思い入れの深いものであったはずだ。だからこそ、家族との大切な記念日に、あるいは遠く離れた家族へ「今の自分」を知らせるために、それぞれの想いを胸に写真館へ向う。その想いを受けて撮る写真師の想いもまた深い。新しい命が生まれた時、その子供が入学した時、そして卒業、結婚。また新たな命が生まれる。人生の節目節目で訪れるのが写真館であり、家族の大切な日に立ち会い、その想いを形にするのが写真師。昔から変わらずに、町中の家族の歴史や絆を見守り続けるのが「街の写真師」の役目なのかもしれない。
代々建物を守ってきた小林さんから、受け継いだ大切なモノがある。小林写真館の写真師達が来ていた「半纏」。背中には粋な古い「寫」の一文字。人と、そして町とのつながりを大切にして来た写真師はお祭りや町で何かがあるとこれを着て、人々の表情と町の「今」を撮る。それは大切な歴史となり、永く人の心に残り語り継がれるものとなる。当時の写真師達の「粋」さと「心意気」が伝わる。
町と人の歴史と想いをつなぐ写真師。北海道で現存する最古の写真館を再生させた谷杉さんの想いも、写真発祥の町はこだての歴史の一部としてつながっていく。(文/さとうあやこ)

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