今も昔も変わらずに、ずうっとそこにあるモノ。
人から人へ手から手へ、ずうっと伝えられるモノ。
想いがつながるモノがたり。
其の五
カタチを残す。想いを残す。
~ モダンな火鉢 ~
ドアを開けると、珈琲の香りと、どこか懐かしい匂い。そこには土間があって、小さな薪ストーブと古い民家の持つ懐かしさがふんわりと温かい空気を作り出している。昨年12月、この場所に「みかづき工房」と「gallery・cafe三日月」をオープンさせた池井ご夫妻。明治時代に質屋として開業した店舗兼住宅を改装した。3度の引越しを繰り返して、ようやくこの場所にたどり着いたとか。明治・大正・昭和と3つの時代の記憶が刻まれている建物。建物のあちこちには、かつて住んでいた人々の「思い出」がたくさん詰まっている。建築士である旦那さまの一季さんが試行錯誤しながら、その記憶を消してしまわないように、残せるものはすべて残して再生させた。
柔らかな日差しが差し込む土間、その真ん中にちょっと気になる「モノ」がある。モダンな色合いのタイル張り。気になって聞いてみると、それは「火鉢」として使われていたものだそう。「火鉢」というと、和風でどっしりとしたイメージだけれど、懐かしいような新しいような、ちょっと変わったカタチが目を引く。いつの時代のモノかは不明。「明治時代に質店として開業し、その後は日用品などを扱う雑貨店でもあったようです。だから、近所の方や近くの子供達も集まる、街のお店屋さんだったのでしょうね。」と池井さん。ご近所さんが立ち寄り、この火鉢を囲みながら、世間話をしたり家族の話をしたり、何気なく人が集まる場所だったのだろう。カフェとなった今も、同じように人々が足を運び、お茶を飲みながら時を過ごす場所となった。街と人と店をつなぐ場所。時は流れても、カタチが変わっても、想いはつながって行く。(文/さとうあやこ)
みかづき工房
ギャラリー・カフェ三日月
弥生町23-1
℡ 080-6073-4455
営業11時~17時
木曜定休

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